【短編】高1の夏。僕は女子に呼び出された

HOBBY
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1995年7月13日

高校に入り3ヶ月がたった頃。もうすぐ夏休みだという、とある金曜日。
学校から帰ってきて部屋で猫と遊んでいると、家の電話がなった。
相手は同じクラスの女子 Mさんだった。まだ、ほとんど話したことがない。
Mさんは会って話したいことがあると言った。僕は直ぐにピーンときた。まぁつまり告白ってやつだ。僕らは日曜日の14時に会う約束をした。
電話を切った後に、これが高校生か!!と僕は思った。

当日の日曜日。僕は朝からクラスで仲良くなったJの家にいた。NとHも含めた出来立て4人組で集まっていた。いつものように稲中卓球部を読んだりプレステでゲームをしたりするも、内心ではみんなソワソワしていたはずだ。もちろん僕が一番ソワソワしていた。
13時30分。Mさんとの約束の30分も前に、みんなでチャリにまたがった。目指すは5分でつく駅前の喫茶店デリッシュだ。

3分で駅前に到着した。僕はこれから起こる事にありったけドキドキしていたが、余裕のふりをしていた。
そして約束の5分前。
僕は短く言った。「じゃ、行ってくるは。あとで教えてやっからさ」
3人は、僕の後姿を期待と羨ましさを込めてどこまでも追ったに違いない。

喫茶店にむかうほんの100m足らずの間、僕はこの2日間で何度も吟味してきた台詞を心の中で唱えていた。悩みに悩んだすえの台詞は
「ゴメン!今は付き合いたいとか思わなくて。でも友達なら」である。
「ゴメン。今はまだ付き合いたいと思わないんんだけど、友達なら」
「ゴメ~ン!付き合いたいとか思わなくて。でも嫌いってことじゃないから」
2日間よく考えてみたが、好きというわけではないし、でも気づ付けちゃいけないし。断るくせに、どこかカッコ良さを残そうという魂胆が導き出した答えであった。

喫茶店に入ると、窓際のテーブルにMさんはいた。
僕は「ごめん。ちょっと遅れちゃった」と、遅れてもいないのに謝った。
そして、普段まったく飲まないコーヒーを注文した。しかもブラックのホットで。
Mさんはジュースを注文した。
しばしの沈黙タイム。かと思いきやMさんがきりだした。Mさんはかなり積極的で単刀直入だった。

M「ごめんね。日曜日に急に呼び出したりして・・」
僕「ん、あぁ。ぜんぜん暇だったからいいよ!」
M「えっとね。リリー君に話したいことがあるんだけど」
僕「んっ、ううん。なに?」
M「わたし、毎日学校でリリー君を見ているうちに想ったことがあって」
僕「おっ、ううん。」
M「リリー君に直接いいたいことがあって」
M「わたし、リリー君のことが」
M「心配だから言うんだけど」
M「このままだとリリー君は畜生界に落ちちゃうのね」
僕「ゴメン!今は付き合い・・」
僕「え?ちくしょうかい?・・」
M「世の中には十界っていうのがあるんだけどね」

その直後に突如現れた女子大生風のお姉さんとMさんの2人に挟まれ、「地獄界」やら「餓鬼界」やら「修羅界」やらの宗教話を延々と聞かされた。
2時間後。ようやく僕は怒りゲージを発動させた。
テーブルを「バンっ」と乱暴にたたき席を立ったのだが、何故か伝票を持ってきてしまい、レジで3人分のお金を支払ってる自分に何ともいえない感情を抱いた。

翌日。高校の昼休み。
昨日の話をネタにバカにし尽くされている僕に追い討ちをかけた者がいた。
近くでその話を聞いていた100%オタク&女っけ0%のE君である。

E「あ~その電話、ボクにもかかってきたよ」
僕「えっまじかよ!んで、どしたのよ?お前、宗教入ったんだろww」
E「え~いや~」
E「普通はそんなの行かないよ~」
E「だって急に女子から電話がくるなんておかしいじゃん」
E「意味不明だよね」

僕は夏の生ぬるい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。


『行け!稲中卓球部とは青春ギャグ漫画の最高峰。連載から20年以上たつが、未だにこれを超える作品はないだろう。
こんにちは。元漫画オタクのリリーおじさんです。漫画はだいぶ処理してしまいましたが、それでもまだ1000冊くらい残っています。

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