10年以上もほぼ無料で新聞を契約していた感動話
これは私が24歳くらいから37歳くらいまでだったかな。
ほぼ無料で新聞の朝刊をとっていた話です。
しかも、途中で凄く感動することが起きたのです。
貧乏だったのに初めて新聞を契約してしまった日
ある日曜日、ピンポーンと新聞屋さんが勧誘にきました。Y新聞です。
私は学生結婚して子供がいたし、最初の就職を退社した後はアルバイトをかけもちして食いつないでいたので貧乏でした。
当然に新聞なんかとる余裕はないので断りました。
そしたら「3ヵ月間契約してくれたらビール350ml24缶を1箱あげる」と言うのです。
私は「いやあ、お金ないのでいらないです」と断りました。
そしたら「ビールを2箱48缶あげる」と言うのです。
ビール48本は9000円くらいです。
新聞の朝刊は月額で3500円くらいだったと思います。
なので3ヵ月とったら10500円です。
「あれ?」私はちょっと考えました。
だって、もの凄くお得ですし、実は私は中学生2年生頃から毎朝、父親の新聞を読んでいた新聞大好きっこだったのです。
そして新聞以上にビールが大好きだったのです。
そしたら新聞屋さんが言いました。
「洗剤も沢山つけます。いま、バイクに洗剤沢山持ってきてるので全部つけます」と、「あと持ってきたの全部あげます」と。
たぶん、相当に契約数に困っていたのだと思います。
どう見ても貧乏な若者に必死で契約をお願いするわけですから。
何でも良いから契約をとらないとノルマを達成できず、何かペナルティをくらうはめになるのだと思います。
結果、私は3ヵ月の朝刊を契約しました。
新聞屋さんは店に戻って約束通りにビール48缶やら粉洗剤8箱やらタオルや台所洗剤などをくれました。ハッキリ言って、それは黒字でした。
そうして私は、月に3500円の出費で、朝は新聞を読んで、夜はビールを飲めるようになりました。当時の私は節約のためにほとんどお金を使ってなかったので、1日100円くらいの贅沢はまぁ良いかなと思ったのです。
そんな3ヵ月が経ったある日、また新聞屋さんが来ました。
「また、3ヵ月だけでいいので契約してくれませんかね~」と。
私は言いました。「ビールくれるならいいですよ」と。
新聞屋さんは、ちょっと考えてからOKしてくれました。
私は言いました。「あと、また洗剤とかもありますかね?^^」と。
新聞屋さんは洗剤をくれました。オレンジのタオルもくれたなぁ。
さらに集金のおばちゃんに言うと遊園地のチケットをくれるので、私はよく無料で子供を遊園地に連れて行ってました。
たまに、長嶋監督のテレフォンカードとかもくれました。
そんな感じでY新聞とは何年かの付き合いが続いていました。
たまに契約更新に来ない時もありましたが、1~2ヵ月すると、また店長がビール48缶を持って来ました。
途中で店長が変わったりもしましたが、ちゃんと私の事を「48缶の男」として引き継いでいってくれました。
毎回、洗剤ももらっていたので、洗剤については何なら在庫を抱えるようになっていました(笑
今度はA新聞の勧誘がきました。
その人は頭がモジャモジャの日焼けしたあんちゃんでした。
私より何歳か年上だったかなぁ。
私は言いました「うちはY新聞をとってて、3ヵ月でビール48缶なんですよ」と。
A新聞のモジャモジャさんは驚いて帰っていきました。
そのモジャモジャさんは、年に1~2回くらい訪ねてくるようになりました。
その度に私は言いました「ビール48缶なんですよね」と。
何年も断り続けていました。48缶がルールだからです。
モジャさんが来るようになって5年くらい経ったでしょうか。
とある平日の夜に、またモジャさんが来ました。
私は思いました(100%断るのに何で来るんだろ。バカなのかな?)と。
そしたらモジャさんが言いました。
「わたし店長になったんですよ。それでビール48缶持ってこれるようになりました。契約してもらえないですかね」と。
私は、とても驚きました。
ちょうど、その時はY新聞が途切れていたので、私はモジャさんと3ヵ月の契約をしたのです。

モジャさんが帰った後に、私は思いました。
モジャさんは何年もかけて、ついに私から契約を勝ち取ったんだなと。
もしかしたら意地だったのかもしれません。
私はモジャ店長の諦めない魂に、なんだか感動してしまいました。
それからは、私はY新聞とA新聞を交互に取ることにしました。
だって条件は同じですし、モジャさんが何年もかけて遂に48缶を持ってこれるようになったのを断る気になれなかったからです。
だからと言ってY新聞の店長との長い付き合いもあるので、平等に3ヵ月毎に順番に契約をすることにしたのです。
以上。
今は、引っ越してしまったので新聞はとっていません。